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関税・通関

デミニミス(少額免税)廃止とは?アメリカ向け越境ECへの影響と対応策

800ドル以下の貨物を免税としてきたデミニミス制度は、2025年8月29日にすべての国からの貨物で事実上廃止され、2026年6月24日にはCBPが郵便貨物を含めて適用停止を無期限化しました。廃止の経緯、越境EC事業者への実務影響、2027年7月の恒久廃止に向けた対応策をわかりやすく解説します。

公開: 最終更新: 読了目安 約4執筆: 深見裕介(Kohaku代表 / 国際発送支援サービスHassoo運営)
対象: アメリカ情報確認日: 2026年9月15日
デミニミス(少額免税)廃止を解説するイメージ。Hassooのロゴと「デミニミス(少額免税)廃止とは?アメリカ向け越境ECへの影響と対応策」の見出し、CUSTOMS・TARIFFの通関書類、関税評価画面のノートPC、「800ドル以下でも関税評価が必要」の注意書き、価額にかかわらず関税評価・価格送料体系の見直し・通関書類の整備という3つの対応策、2025年5月2日から2027年7月1日までの廃止スケジュールのタイムライン

800ドル以下の貨物を関税なしで通関できるとしてきたデミニミス(少額免税)制度は、2025年8月29日にすべての国からの貨物で事実上廃止されました。さらに2026年6月24日には、CBP(米国税関・国境警備局)が国際郵便を含むすべての輸送モードで適用停止を無期限化し、2027年7月1日には法律上も恒久的に廃止される予定です。「少額だから免税」という前提はすでに過去のものであり、越境EC事業者は関税評価・通関書類の実務を正式貨物と同等の水準に見直す必要があります。

この記事の要点

  • デミニミス(Section 321)は、800ドル以下の貨物を免税としてきたアメリカの少額輸入制度
  • 2025年5月2日に中国・香港発、2025年8月29日に全世界からの貨物で適用停止
  • 2026年6月24日、CBPが国際郵便を含む全モードで無期限停止を規則化
  • 2026年8月13日、国際貿易裁判所(CIT)が停止の効力維持を確認
  • 2027年7月1日には法律上の恒久廃止が予定されている(One Big Beautiful Bill Act)
  • 越境EC事業者は、価格設定・関税率の事前確認・通関書類の3点を見直す必要がある

デミニミス制度とは何だったのか

デミニミス(De Minimis)は、関税法上「僅少なものは無視する」という考え方にもとづき、800ドル以下の貨物を関税・輸入税なしで通関できるとしてきたアメリカの制度です。根拠となる条文(19 U.S.C. 1321)から「Section 321」とも呼ばれます。

この枠組みのもとでは、越境ECの個人向け発送や小口の商業貨物の多くが、正式な関税評価を経ずに通関できていました。低価格帯の商品を扱う越境EC事業者にとって、価格競争力を支える重要な前提のひとつになっていました。

廃止までの経緯

デミニミス廃止は一度に決まったわけではなく、段階を踏んで進みました。

時期 出来事
2025年5月2日 中国・香港発の貨物(郵便含む)を対象にデミニミス適用停止
2025年8月29日 すべての国からの貨物にデミニミス適用停止が拡大。事実上の全面廃止
2025年7月 One Big Beautiful Bill Act成立。2027年7月1日付での法定廃止を規定
2026年6月24日 CBPが郵便以外の全輸送モード、および国際郵便の双方について適用停止を無期限化。郵便貨物向けの新しい簡易申告プロセスも導入
2026年8月13日 国際貿易裁判所(CIT)が異議申し立てを却下し、停止措置の効力を維持
2027年7月1日(予定) デミニミス制度が法律上も恒久的に廃止

ポイントは、2025年8月の停止が大統領令にもとづく行政措置だったのに対し、2026年6月のCBP規則と2027年7月の法定廃止は、より恒久的な根拠へと切り替わっている点です。IEEPA(国際緊急経済権限法)にもとづく一部の相互関税措置が裁判で覆された後も、デミニミス停止は別の法的根拠にもとづく措置として維持されています(CIT、2026年8月13日判断)。つまり、今後の関税をめぐる裁判の動向にかかわらず、少額免税が復活する可能性は低いとみられます。

なお、IEEPA関連の関税措置そのものの経緯は、FedExのIEEPA関税返金の記事でも解説しています。

越境EC事業者への実務影響

1. 価額にかかわらず関税評価が必要になった

これまで免税枠の中で完結していた少額発送も、現在は正式な通関手続きと関税評価の対象です。商品ごとのHTSコード(品目分類番号)を特定し、該当する関税率を事前に把握しておく必要があります。具体的な調べ方は、アメリカ向け製品の関税率の調べ方で手順を解説しています。HTSコードの基礎から確認したい場合は、HSコードとは?もあわせてご参照ください。

2. 価格設定・送料体系の見直しが必要

免税前提で設計していた価格や送料は、関税分のコストを織り込んだ形に見直す必要があります。関税を購入者負担にするか事業者側で吸収するかによって、想定利益率やカートでの離脱率が変わるため、早めのシミュレーションが重要です。

3. 通関書類の整備水準を正式貨物並みに引き上げる

少額貨物にも、商業貨物と同等のインボイス記載(品目詳細・原産国・価額など)が求められるようになっています。簡易な書類のまま発送すると、通関の遅延や追加確認の対象になるリスクが高まります。

4. 国際郵便での発送にも同じ前提が適用される

2026年6月24日の規則により、商業貨物向けの輸送モードだけでなく、国際郵便を利用した発送でもデミニミスは適用停止となりました。郵便を使えば従来どおり免税で送れる、という認識は現在の制度と合っていません。

今すぐ見直したい3つのポイント

  1. 価格・送料体系:関税コストを織り込んだ価格設定になっているか確認する
  2. 関税率の事前確認:主要な取扱商品のHTSコードと想定税率を一覧化しておく
  3. 通関書類の水準:インボイスの記載内容を、正式貨物と同等の水準に整えているか確認する

まとめ:少額免税を前提にした運用からの転換

デミニミス廃止は、2025年8月の全面停止、2026年6月の郵便を含む無期限停止、そして2027年7月の法定廃止へと、段階的かつ恒久的な方向に進んでいます。訴訟によって覆る可能性も低いとみられるため、「いずれ免税が戻る」という前提での運用は現実的ではありません。

Hassooでは、FedExを利用したアメリカ向け発送にあわせて、関税率の確認や通関書類の整備についてもご相談を承っています。デミニミス廃止後の運用に不安がある場合は、取扱商品の情報をお知らせいただければ、確認すべきポイントの整理をお手伝いします。


※本記事は2026年9月時点で確認できる情報にもとづく一般的な解説です。デミニミス制度の運用・関連する訴訟の状況は変更される場合があります。実際の発送前に、CBP・Federal Registerの最新情報を必ずご確認ください。

参考情報

よくある質問

A.アメリカの通関法制上、800ドル以下の貨物を関税・輸入税なしで通関できるようにしていた少額免税制度です。根拠条文にちなんで「Section 321」とも呼ばれます。従来は個人向けの少額発送やEC通販の多くがこの免税枠の中で完結していました。

A.段階的に廃止が進みました。2025年5月2日に中国・香港発の貨物、2025年8月29日にすべての国からの貨物でデミニミスの適用が停止され、事実上廃止となりました。さらに2026年6月24日、CBP(米国税関・国境警備局)は郵便貨物を含むすべての輸送モードについて適用停止を無期限とする規則を公布し、2027年7月1日には法律上も恒久的に廃止される予定です。

A.その通りです。価額にかかわらず、すべての商業貨物が正式な通関手続きと関税評価の対象になっています。少額だから免税という前提はすでに成り立たないため、発送前にHTSコードにもとづく関税率を確認しておく必要があります。

A.あります。当初は商業貨物向けの輸送モードが先に対象となりましたが、2026年6月24日付の規則で国際郵便網を通じた貨物についてもデミニミスの適用が停止されました。同時に、郵便貨物向けの新しい簡易申告(Informal Entry)プロセスが導入されています。

A.ありました。2026年8月13日、米国国際貿易裁判所(CIT)の3人パネルは、輸入業者Detroit Axleによる異議申し立てを却下しました。免税枠を撤廃することは新たな関税を賦課することとは法的に別の措置だと判断され、同時期にIEEPA(国際緊急経済権限法)にもとづく相互関税の一部が違憲と判断された後も、デミニミス停止そのものは維持されています。

A.あります。2025年7月に成立したOne Big Beautiful Bill Actにより、デミニミス制度は2027年7月1日付で法律上も恒久的に廃止されることが定められています。現在の「無期限停止」から「法定廃止」へと根拠が切り替わる形で、少額免税が復活する見込みは低い状況です。

A.第一に、これまで免税前提で組んでいた価格設定・送料体系を、関税込みの実費ベースに見直すことです。第二に、発送する商品のHTSコードと想定関税率を事前に確認しておくこと。第三に、通関書類(インボイス・原産国表示など)を正式貨物と同等の水準で整えることです。

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