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FedExのIEEPA関税返金とは?経緯・対象者・返金ポータルの使い方を解説

米最高裁が2026年2月にIEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく相互関税・フェンタニル関税を違法と判断したことを受け、FedExは2026年8月にIEEPA関税返金ポータルを稼働させました。返金の対象者(Importer of Record)、CBPの返金フェーズ、ポータルでの確認方法まで、経緯を含めて解説します。

公開: 最終更新: 読了目安 約7執筆: 深見裕介(Kohaku代表 / 国際発送支援サービスHassoo運営)
対象: アメリカ向け輸出入情報確認日: 2026年8月19日
FedExのIEEPA関税返金手続きガイドを解説するイメージ。Hassooのロゴと「FedEx IEEPA関税返金手続きガイド」の見出し、FedEx Refund Portalの画面(Status: Eligible、Amount: $12,345.67)、Importer of Recordのアイコン、IEEPA関税返金までの流れ(①相互関税の発動2025年4月→②CITが違法と判断2025年5月28日→③最高裁が違法と確定判断2026年2月20日→④返金ポータル開始2026年8月)

米最高裁は2026年2月20日、トランプ政権がIEEPA(国際緊急経済権限法)を根拠に課していた相互関税・フェンタニル関税について、大統領に関税賦課の権限はないとして違法と判断しました。これを受けてFedExは2026年8月、既に支払われたIEEPA関税を返金するためのIEEPA関税返金ポータルを稼働させています。返金を受け取れるのは発送した側ではなく、通関書類上のImporter of Record(輸入者)です。

この記事の要点

  • IEEPA関税は、2025年4月の「相互関税」とカナダ・メキシコ・中国等向けの「フェンタニル関税」が中心。Section 232(鉄鋼・アルミ関税)とは別の法的根拠
  • 米国際貿易裁判所→連邦巡回控訴裁判所→最高裁と、3段階で「違法」の判断が積み重なり、2026年2月20日に最高裁が確定させた
  • 2026年2月24日時点で発動中だったIEEPA関税は適用停止。それ以前に支払われた関税が返金対象
  • 返金を受け取れるのはImporter of Record(IOR)。発送した側ではなく、通関書類(CBP Form 7501)のBox 26に記載された輸入者
  • FedExがIORだった申告は、FedExが既にCBPへ返金請求済みで利用者側の追加申請は不要
  • FedExの返金ポータル(ieepa-refunds.fedex.com)で、返金の受領状況(金額・利息・受領日)を確認できる
  • 最初の返金支払いは2026年8月10日頃開始予定。CBPの返金処理はフェーズ1〜3に分かれて進行中

IEEPA関税とは何か

IEEPA(International Emergency Economic Powers Act:国際緊急経済権限法)は、本来は安全保障上の緊急事態に対応するための経済制裁権限を大統領に与える法律です。トランプ政権はこの法律を根拠に、2025年から次のような追加関税を課していました。

  • 相互関税(Reciprocal Tariffs):2025年4月の「Liberation Day」で発動。ほぼ全ての国からの輸入品に10%の基本関税を課し、貿易相手国ごとに11%〜50%の追加関税を上乗せ
  • フェンタニル関税(Trafficking and Immigration Tariffs):合成麻薬フェンタニン等の流入阻止を名目に、カナダ・メキシコ・中国などを対象に10%〜35%を課税

これらは、鉄鋼・アルミニウムに対するSection 232関税とは法的根拠も対象品目も異なる、別の関税です。両方が同時にかかっている品目もあるため、自社の貨物にどの関税が適用されていたかは個別に確認が必要です。

なぜ「違法」と判断されたのか(経緯)

IEEPA関税の適法性は、複数の裁判所で段階的に審理されてきました。

時期 経緯
2025年4月 相互関税発動(「Liberation Day」)
2025年5月28日 米国際貿易裁判所(CIT)が全員一致でIEEPA関税を違法と判断
2025年8月29日 連邦巡回控訴裁判所(Federal Circuit)がCITの判断を支持
2026年2月20日 米最高裁が6対3でIEEPA関税を違法と確定判断
2026年2月24日 発動中だったIEEPA関税の適用を停止。ホワイトハウスは代替措置として通商法122条に基づく10%関税(150日間)を発表

最高裁の判断の核心は、「輸入を規制する(regulate importation)」という条文の文言は、関税を賦課する権限までは含まないという解釈です。米国憲法は課税権限(関税を含む)を議会に与えており、IEEPAの規定だけでは大統領が独自に関税を課す根拠にならない、とされました。

なお、判決自体は「関税が違法である」ことを確定させたものであり、返金の要否や方法そのものを直接命じたわけではありません。その後、米国際貿易裁判所が2026年3月4日に未清算の輸入申告について還付を命じたことなどを経て、CBP(米国税関・国境警備局)による返金実務が動き出しています。

誰が返金を受け取れるのか(Importer of Record)

ここが最も誤解されやすいポイントです。返金を受け取れるのは、発送した側(荷送人)ではなく、通関書類上の輸入者(Importer of Record、以下IOR)です。

IORは、通関書類であるCBP Form 7501(Entry Summary)のBox 26に記載されている名義で確認できます。

  • DDP(関税込み)発送などで、FedExアカウントを使って自らが輸入者として通関していた場合:ご自身がIORに該当し、返金の対象になり得ます
  • 着払いで、アメリカ側の受取人が輸入者として通関していた場合:返金の対象はアメリカ側の受取人です。日本から発送しただけの立場では、直接の返金対象にはなりません
  • FedExがIORとして通関していた場合(多くの国際小口貨物が該当):FedExが米国財務省から直接返金を受け取り、荷送人・荷受人へ配分する形になります

自社がどのケースに該当するかは、該当する発送のCBP Form 7501を確認するか、後述のFedExポータルで発送詳細を入力して確認するのが確実です。

CBPの返金フェーズ(進行状況)

CBPは、対象となる輸入申告のステータスに応じて、返金処理を段階的に進めています。

  • フェーズ1(進行中):未清算(unliquidated)の輸入申告、および清算から80日以内の輸入申告が対象。米国財務省がFedExへ継続的に送金しています
  • フェーズ2(進行中):輸入申告時に、輸入者が照合のためフラグを立てていた輸入申告が対象
  • フェーズ3(今後の予定):最終的な清算済み・複雑な輸入申告が対象。FedExの案内では目標日が示されていますが、フェーズ3の適格性は裁判所の審査対象となっており、該当する場合は法律顧問へ相談することが強く推奨されています

つまり、貨物によって返金のタイミングにかなりの差があります。「まだ返金が届かない」からといって、対象外と決まったわけではありません。

FedExのIEEPA関税返金ポータルの使い方

FedExは2026年8月、専用のIEEPA関税返金ポータルieepa-refunds.fedex.com)を公開しました。

ポータルでできることは次のとおりです。

  1. 発送の詳細を入力し、該当の貨物についてFedExが米国財務省から返金を受け取っているかを確認
  2. 受け取っている場合、返金額・利息・FedExの受領日を確認
  3. 連絡先情報を確認し、必要に応じて信頼できるベンダーパートナーと、限られた貨物情報・返金データを共有するかどうかを選択(データはFedExのデータ保護ポリシーに従い、アカウント照合・返金処理の目的にのみ使用されます)

FedExがIORだった申告については、FedExが既にCBPへ返金請求を行っており、利用者側で新たに申請する必要はありません。 ポータルは主に「状況確認」と「データ共有の可否選択」のためのものです。

最初の返金の支払いは2026年8月10日頃に開始すると案内されています。なお、ポータルでのデータ共有を拒否した場合でも返金自体は受け取れますが、手作業での対応になるため、支払いまでに時間がかかる場合があります。

実務上のCAPEシステムとACH登録について

CBP側では、大量の輸入申告を一括処理するための新システム「CAPE」(Consolidated Administration and Processing of Entries)の整備が進められています。返金を確実かつスムーズに受け取るために、輸入者側で押さえておきたいポイントは次のとおりです。

  • ACH(電子送金)登録の確認:紙の小切手による還付は廃止され、電子送金が受取手段になっています。ACEポータルで送金先口座の登録が有効になっているか確認してください
  • 通関ブローカー経由の場合の確認:通関を代行してもらっていた場合、返金の通知先(notify party)がどこに設定されているかを確認しておくと、資金の所在が分かりやすくなります
  • 記録の整理:該当期間に支払ったIEEPA関税の輸入申告番号・支払税額を一覧化しておくと、状況確認や必要な場合の異議申し立て(プロテスト)がスムーズです

発送前・確認時のチェックリスト

  • 該当の発送がIEEPA関税(相互関税・フェンタニル関税)の対象だったか、Section 232など別の関税ではないか確認したか
  • 該当発送のCBP Form 7501 Box 26で、自社がImporter of Recordかどうかを確認したか
  • FedExのIEEPA関税返金ポータルで、返金の受領状況を確認したか
  • ACH(電子送金)の登録状況を確認したか(通関ブローカー経由の場合は代行先にも確認)
  • フェーズ3(複雑な申告)に該当しそうな場合、法律顧問への相談を検討したか

自分で対応できるケースと、相談したほうがよいケース

自分で対応できるケース

  • FedExアカウントで発送しており、FedExがImporter of Recordだった発送の状況確認(ポータルで確認するだけ)
  • 対象となる発送・関税額が明確で、記録も整理できている

相談したほうがよいケース

  • 自社がImporter of Recordかどうかの判断に迷う
  • フェーズ3(最終清算済み・複雑な申告)に該当する可能性があり、裁判所の審査対象になるかどうか不安がある
  • 通関ブローカー経由の発送で、返金の通知先・受取方法が分からない
  • 返金額に疑義があり、異議申し立て(プロテスト)を検討している

IEEPA関税の返金は制度・実務ともに変化が速い分野です。Hassooでは、FedExを利用した発送に関するご相談を承っています。該当しそうな発送がある場合は、まずFedExの返金ポータルでの確認をおすすめしつつ、判断に迷う点があればお問い合わせください。


※本記事は2026年8月時点で確認できる情報にもとづく一般的な解説です。IEEPA関税の返金対象・手続き・スケジュールは、裁判所の判断や制度の運用状況により変更される場合があります。返金の可否・金額に関する正式な判断は、CBPおよびFedExの最新の公式情報、必要に応じて税務・法律の専門家にご確認ください。

参考情報

よくある質問

A.国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に、トランプ政権が2025年から課していた追加関税の総称です。2025年4月の「相互関税(Reciprocal Tariffs)」(ほぼ全輸入品への10%の基本関税+国別の追加関税)と、カナダ・メキシコ・中国等を対象にした「フェンタニル関税(薬物流入対策関税)」が中心です。鉄鋼・アルミに対するSection 232関税とは異なる、別の法的根拠に基づく関税です。

A.米最高裁が2026年2月20日、IEEPAは大統領に関税を賦課する権限を与えていないとして、相互関税とフェンタニル関税を違法と判断したためです(6対3)。米国際貿易裁判所(2025年5月)、連邦巡回控訴裁判所(2025年8月)に続く判断で、これにより既に支払われた関税の返金対応が必要になりました。

A.返金を受け取れるのは、通関書類(CBP Form 7501)の輸入者欄(Box 26)に記載されているImporter of Record(IOR、輸入者)です。発送した側(荷送人)が自動的に対象になるわけではありません。DDP(関税込み)発送でFedExアカウントを使って自ら輸入者となっていた場合はご自身が対象になり得ますが、着払いで受取人が輸入者になっている発送では、返金は受取人(アメリカ側)に対して行われます。

A.発送の詳細を入力すると、FedExが米国財務省からその貨物分の返金(金額・利息・受領日を含む)を受け取っているかどうかを確認できます。また、連絡先情報の確認や、信頼できるベンダーパートナーと限られた貨物情報・返金データを共有するかどうかを選択できます。FedExがImporter of Recordだった申告については、FedExが既にCBPへ返金請求を行っており、利用者側で新たに申請する必要はありません。

A.拒否しても返金自体は受け取れます。ただし手作業での対応になるため、支払いまでに時間がかかる場合があります。

A.FedExは最初の返金の支払いが2026年8月10日頃に開始されると案内しています。ただしCBPの返金処理はフェーズに分かれて進んでおり、申告の状況によって実際の入金時期は異なります。

A.CBPは全ての対象申告を一度に処理するのではなく、段階的に受け付けています。フェーズ1は未清算の申告および清算から80日以内の申告、フェーズ2は輸入時に照合のためフラグが立てられた申告が対象で、いずれも進行中です。フェーズ3は最終清算済み・複雑な申告が対象で、適格性が裁判所の審査対象になり得るため、該当する場合は法律顧問への相談が推奨されています。

A.該当する貨物の通関書類(CBP Form 7501)のBox 26(Importer of Record Number)に記載された名義を確認してください。FedExを利用した発送であれば、FedExのIEEPA関税返金ポータルに発送の詳細(追跡番号等)を入力することで、FedEx側が把握している返金状況を確認できます。

A.最高裁判決を受けて2026年2月24日時点で発動中だったIEEPA関税は適用が停止されました。一方でホワイトハウスは代替措置として、通商法122条に基づく10%の関税を150日間課す方針を示しており、対中国関税など個別に異なる扱いが続いている品目もあります。現在の関税状況は品目・国によって変わるため、発送前に最新情報を確認してください。

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