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関税・通関

アメリカ向け製品の関税率の調べ方|HTSコードとCBP CROSSで確認する手順

2025年8月にDe Minimis免税制度が廃止され、少額貨物でも正式な関税評価が必要になりました。HTSコード(10桁)の特定からUSITCデータベースでの基本税率の確認、Section 301・232などの追加関税の重なりの確認、CBP CROSSでの分類判例の調べ方まで、実務の手順で解説します。

公開: 最終更新: 読了目安 約6執筆: 深見裕介(Kohaku代表 / 国際発送支援サービスHassoo運営)
対象: アメリカ情報確認日: 2026年9月1日
アメリカ向け製品の関税率の調べ方を解説するイメージ。Hassooのロゴと「アメリカ向け製品の関税率の調べ方|HTSコードとCBP CROSSで確認する手順」の見出し、「800ドル以下でも関税評価が必要」の注意書き、HTS Search画面、Column 1 Generalの税率表示、Section 301・Section 232の警告アイコン、CBP CROSS検索画面、HTSコード特定からCBP CROSSで判例確認までの4ステップフロー

2025年8月29日、800ドル以下の貨物を関税免除としてきたDe Minimis(少額免税)制度が事実上廃止され、価額にかかわらずすべての商業貨物が正式な関税評価の対象になりました。これにより、これまで免税で送れていた少額の発送でも、HTSコードにもとづく関税率を事前に確認する重要性が一段と高まっています。

この記事の要点

  • 2025年8月29日にDe Minimis(800ドル以下の免税)が事実上廃止され、少額貨物でも関税評価が必要に
  • 関税率を調べる第一歩は、製品の10桁のHTSコードを特定すること
  • 基本税率はUSITCのHTSデータベース(hts.usitc.gov)で無料で調べられる
  • 税率欄は「Column 1 General」「Column 1 Special」「Column 2」に分かれ、通常はGeneralが基準
  • 基本税率だけでなく、Section 301・232などの追加関税が重なっていないかの確認が必要
  • 判断に迷う場合はCBPのCROSS(判例検索)やBinding Ruling(正式な事前教示)を活用する

なぜ今、関税率を正確に調べる必要があるのか

かつては、800ドル以下の貨物は「De Minimis」というルールにより、原則として関税なしでアメリカへ届けることができました。ネット通販やギフトの少額発送では、この免税枠を意識せずに済むケースも多くありました。

しかし、2025年5月2日に中国・香港からの貨物を対象にDe Minimisが停止されたのを皮切りに、2025年8月29日には全ての国からの貨物にDe Minimis停止が拡大されました。現在は、価額の大小・発送方法を問わず、商業目的の貨物は正式な通関手続きと関税評価の対象になっています。

つまり、「少額だから関税はかからないだろう」という前提が通用しなくなっています。発送前に対象品目の関税率を確認しておくことが、これまで以上に重要になっています。

ステップ1:HTSコード(10桁)を特定する

関税率は品目ごとに決まっているため、まず製品に対応するHTSコードを特定する必要があります。

HTSコードの上6桁は世界共通のHS(Harmonized System)にもとづきますが、アメリカでは10桁まで細分されています。材質・用途・加工度によって分類が変わるため、商品の仕様を整理したうえで調べます。

HSコードそのものの調べ方・考え方は、HSコードとは?調べ方と、分からない場合の対応をわかりやすく解説で詳しく解説しています。この記事では、アメリカ向けに特化した関税率の確認手順を扱います。

ステップ2:USITCのHTSデータベースで基本税率を調べる

10桁のHTSコード(またはその見当)が分かったら、USITC(米国国際貿易委員会)が公開しているHTSデータベースhts.usitc.gov)で検索します。

このデータベースは無料で利用でき、HTSコードや商品キーワードから該当する品目と税率を確認できます。表示される税率は、次の3つの欄に分かれています。

内容
Column 1 General WTO加盟国など、ほぼすべての国に適用される基本税率(MFN税率)
Column 1 Special USMCAなどの自由貿易協定やGSP(特恵関税制度)が適用される場合の優遇税率。対象制度が略号で表示される
Column 2 北朝鮮・キューバ・ロシア・ベラルーシなど、通商関係のない国に適用される高い法定税率

日本からの発送では、通常「Column 1 General」の税率が基準になります。特別な自由貿易協定や特恵制度の対象になる場合を除き、この欄の数値が基本税率と考えてください。

ステップ3:追加関税が重なっていないか確認する

ここが見落とされやすいポイントです。Column 1 Generalの基本税率だけが、実際にかかる関税のすべてとは限りません。

近年、通常の関税に加えて、次のような追加の関税措置が特定の品目・国に対して課されることがあります。

  • Section 301(対中制裁関税):中国原産品を対象にした制裁関税
  • Section 232(安全保障関税):鉄鋼・アルミニウムなど特定品目を対象にした関税。Section 232の詳細
  • 相互関税・IEEPA関連の措置:時期や政権の方針によって発動・停止・変更が繰り返されている関税。過去の経緯はFedExのIEEPA関税返金でも解説しています

これらの追加関税は、対象国・対象品目・税率が頻繁に変更されます。基本税率を確認した後、自社の製品がこうした追加措置の対象になっていないかを、USITCやCBPの最新情報で必ず確認してください。「去年は対象外だったから今年も大丈夫」とは限りません。

ステップ4:CBPのCROSSで分類判例を確認する

HTSコードの分類に確信が持てない場合、CBP(税関・国境警備局)のCROSS(Customs Rulings Online Search System)が役立ちます。

CROSS(rulings.cbp.gov)は、CBPが過去に下した品目分類の裁定(ルーリング)を検索できるデータベースです。材質・用途・機能的特徴などのキーワードで検索すると、自社の製品に近い商品が過去にどう分類されたかを確認できます。

ただし、個々の裁定は、その裁定を受けた特定の輸入者・商品にのみ法的拘束力を持つ点に注意してください。似た商品でも、材質や構造が違えば分類が変わることがあります。あくまで判断の参考材料として使うのが基本です。

それでも確信が持てない場合:Binding Ruling(正式な事前教示)

CROSSで該当する判例が見つからない、または自社の製品の分類に強い不安がある場合は、CBPに対してBinding Ruling(拘束力のある事前教示)を申請できます。

CBPの国内商品専門部門(National Commodities Specialist Division)に、製品の材質・構造・用途などが分かる情報とともに申請すると、法的拘束力のある正式な分類回答を得られます。回答には一定の時間がかかるため、発送スケジュールに余裕を持って申請することをおすすめします。

関税率確認の流れ(まとめ)

  1. 製品の材質・用途・加工度を整理する
  2. HTSコード(10桁)の見当をつける
  3. USITCのHTSデータベースで基本税率(Column 1 General)を確認する
  4. Section 301・232など、追加関税の対象になっていないか確認する
  5. 分類に迷う場合はCBPのCROSSで判例を確認する
  6. それでも確信が持てない場合はBinding Rulingを申請する、または専門家に相談する

発送前チェックリスト

  • 製品のHTSコード(10桁)を特定したか
  • USITCのHTSデータベースでColumn 1 Generalの基本税率を確認したか
  • Section 301・232など、追加関税の対象品目・対象国に該当しないか確認したか
  • De Minimis廃止後の現行ルールを踏まえ、少額貨物でも関税評価が必要な前提で準備しているか
  • 分類に迷う場合、CROSSでの判例確認やBinding Ruling申請を検討したか

自分で対応できるケースと、相談したほうがよいケース

自分で対応できるケース

  • 既製品で、材質・用途が明確でHTSコードの候補が絞りやすい
  • 過去に同じ製品をアメリカへ発送した実績があり、税率が確定している
  • Section 301・232などの追加関税の対象になりにくい一般的な品目

相談したほうがよいケース

  • 複数の材質・機能が組み合わさった製品で、分類の判断が難しい
  • 鉄鋼・アルミ製品、電子機器、対中生産品など、追加関税の対象になりやすい品目
  • 高額な貨物で、税率の見誤りによる追徴課税の影響が大きい場合
  • CROSSで参考になる判例が見つからず、分類に強い不安が残る場合

関税率の調査は、HTSコードの特定と追加関税の確認という2段階の作業が必要で、負担に感じやすい部分です。Hassooでは、FedExを利用したアメリカ向け発送にあわせて、関税率確認のご相談にも対応しています。発送する製品の情報をお知らせいただければ、確認すべきポイントの整理をお手伝いします。


※本記事は2026年9月時点で確認できる情報にもとづく一般的な解説です。関税率・追加関税の対象品目・De Minimis制度の運用は変更される場合があります。実際の発送前に、USITC・CBPの最新情報を必ずご確認ください。

参考情報

よくある質問

A.最初に必要なのは、その製品の10桁のHTSコード(品目分類番号)です。HTSコードが決まって初めて、それに対応する関税率を特定できます。材質・用途・加工度をもとに、USITCのHTSデータベース(hts.usitc.gov)で該当する番号を調べます。

A.税率は複数の欄に分かれています。「Column 1 General」はWTO加盟国など、ほぼすべての国に適用される基本税率です。「Column 1 Special」はUSMCAなどの自由貿易協定や特恵関税制度が適用される場合の優遇税率で、該当する制度が略号で示されます。「Column 2」は北朝鮮・キューバ・ロシア・ベラルーシなど、通商関係のない国に適用される高い法定税率です。日本からの発送では、通常Column 1 Generalが基準になります。

A.基本税率(MFN税率)だけでは終わらないことがあります。品目や状況によっては、Section 301(対中制裁関税)、Section 232(鉄鋼・アルミ等の安全保障関税)、相互関税など、追加の関税措置が重なる場合があります。これらの措置は対象国・対象品目・実施状況が頻繁に変わるため、基本税率を確認した後、追加関税が適用される品目かどうかも別途確認する必要があります。

A.影響があります。従来は800ドル以下の貨物は原則関税免除でしたが、2025年8月29日付でこの制度は事実上廃止され、価額にかかわらずすべての商業貨物が正式な通関・関税評価の対象になりました。少額の発送であっても、事前に関税率を確認しておく重要性が高まっています。

A.CROSS(Customs Rulings Online Search System)は、CBPが過去に出した品目分類の裁定(ルーリング)を検索できるデータベースです。自分の製品に近い商品がどう分類されたかの判例を確認でき、HTSコードの判断材料になります。ただし、ある裁定はその裁定を受けた特定の輸入者・商品にのみ法的拘束力を持つ点に注意してください。

A.CBPに対して正式な事前教示(Binding Ruling)を申請できます。CBPの国内商品専門部門(National Commodities Specialist Division)に、製品の材質・構造・用途などの情報とともに申請し、法的拘束力のある分類回答を得られます。回答には一定の時間がかかるため、余裕を持って申請することをおすすめします。

A.既製品で分類が明確な場合や、過去に同じ商品を発送した実績がある場合は自分で確認できることが多いです。一方、複数の材質にまたがる商品、Section 301・232などの追加関税の対象になりやすい品目(電子機器、鉄鋼・アルミ製品、対中生産品など)、高額貨物は、判断を誤ると追徴課税のリスクがあるため、専門家や発送代行サービスに相談することをおすすめします。

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