EUの新税関ルール「製品識別コード(PID)」とは?対象・必要な3つのコード・義務化スケジュールを解説
EU向けのB2C・少額(150ユーロ以下)貨物には、2026年11月1日から製品識別コード(PID)3種類の記載が義務化されます。あわせて2026年7月1日に150ユーロの免税が廃止され、暫定で品目ごとに€3の関税が課されます。対象・必要なコード・スケジュール・日本の事業者の準備を解説します。

EUの新しい税関ルールでは、EU向けのB2C(消費者向け・通信販売)貨物について、2026年11月1日から「製品識別コード(PID:Product Identifier)」3種類を品目ごとに記載することが義務化されます。あわせて2026年7月1日には150ユーロ以下の関税免除(de minimis)が廃止され、暫定措置として品目ごとに3ユーロの関税が課されるようになりました。
この記事の要点
- EU向けB2C貨物に、商品を特定する「製品識別コード(PID)」3種類の記載が求められる
- 対象は主に価額150ユーロ以下のB2C(通信販売)貨物。VAT登録済みのB2Bや150ユーロ超は原則対象外
- スケジュールは「2026年7月1日から任意 → 2026年11月1日から義務化」
- PIDが不足していると、通関できず遅延する場合がある
- 別途、2026年7月1日に150ユーロの免税が廃止され、品目ごとに€3の暫定関税が課される
製品識別コード(PID)とは?必要な3つのコード
PID(Product Identifier)とは、EU向けのB2C貨物について、通関時に商品を正確に特定するため税関へ提供する識別コードです。各品目につき、次の3種類を記載します。
| コードの種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 販売者の製品識別コード | 自社で商品を管理するための固有コード | SKU・商品コード |
| 製造者の製品識別コード(非標準) | メーカー/仕入先が個々の商品に割り当てる固有コード | MPN・部品番号 |
| 製造者の製品識別コード(標準・存在する場合のみ) | 国際的な標準機関が定めるバーコード | GTIN・EAN・UPC |
3つ目の「標準化されたコード(バーコード)」は、その商品に存在する場合のみ記載します。同じ商品であれば、どの販売者が売っても同じバーコードになります。
対象になる貨物・ならない貨物
このルールは、すべての国際貨物に一律で適用されるわけではありません。
- 対象:EU27か国向けの、価額150ユーロ以下のB2C(消費者向け・通信販売)貨物。ECサイトやマーケットプレイスでの販売、VAT未登録の荷受人(一般消費者)への発送などが該当します。
- 原則対象外:VAT登録済み(有効なVAT ID/EORIを持つ)荷受人へのB2B貨物や、価額150ユーロを超える貨物。これらは標準の税関ルール・関税率が適用されます。
いつから?義務化のスケジュール
導入は段階的です。
- 2026年7月1日〜:任意(voluntary)で提供を開始できる期間
- 2026年11月1日〜:義務化。以降はPIDの記載が必須
義務化後は、PIDが不足・不整合だと通関が保留され、配送遅延や不通関につながる可能性があります。早めに商品データを整えておくことが大切です。
150ユーロ免税の廃止と「€3」の暫定関税
PIDと同時期に、EUの少額貨物の扱いも変わりました。
- 2026年6月30日まで:価額150ユーロ以下の貨物は関税が免除(de minimis)
- 2026年7月1日から:この免除が廃止。暫定措置として、150ユーロ以下の少額貨物に品目ごとに一律3ユーロの関税が課される(2028年7月まで続く予定。その後は標準関税率へ移行見込み)
ポイントは、この3ユーロが個数ではなく「品目(HSコードの分類)ごと」に課されることです。
- 同じ品目のTシャツを5枚 → 3ユーロ(1品目)
- Tシャツ+ジーンズ(別の品目)→ 合計6ユーロ(2品目)
Vat(付加価値税)は、3ユーロを含めた金額に対して計算される場合があります。品目の分類にはHSコードが関わるため、あわせてHSコードとは?調べ方と、分からない場合の対応もご確認ください。
なお、EUの3ユーロとは別に、加盟国が独自の追加手数料を設けている場合もあります。
日本の事業者がやるべき準備
EU向けにB2Cで販売・発送する日本のEC事業者や個人事業主は、次の準備をしておくと安心です。
- 商品ごとに3つのコードを整理する:SKU(自社商品コード)、MPN(製造者の品番)、GTIN/EAN/UPC(バーコード。ある場合)を商品マスタにまとめる
- 仕入先からコードを取得する:MPNや標準バーコードが分からない商品は、メーカー・仕入先に確認する
- 書類・税関データに正しく載せる:インボイスや発送システムのデータに、品目ごとのPIDを反映できるようにする
- HSコードとの整合を確認する:€3の関税は品目(HSコード)単位で課されるため、分類も正しく整理しておく
自分で対応できるケースと相談したほうがよいケース
自分で対応できるケース
- EU向けの取扱商品が少なく、SKU・MPN・バーコードを自社で管理できている
- 発送システムやインボイスにPIDを記載する運用を自社で組める
- 商品のHSコードが確定している
相談したほうがよいケース
- 取扱商品が多く、コードの整理や書類反映の運用構築が負担
- MPNや標準バーコードが分からない商品が多い
- HSコードや関税の扱いに不安があり、通関トラブルを避けたい
- 義務化(2026年11月1日)までに準備が間に合うか不安
まとまった量をEUへ発送する場合は、輸出書類の作成や税関データの整備を代行に任せることで、こうした新ルールへの対応の手間を減らせます。Hassooでは、FedExを利用したEU向け発送について、輸出書類の作成やHSコード・製品識別コードの記載を含めてサポートしています。発送内容をお送りいただければ、必要な準備と進め方をご案内します。
※本記事は2026年7月時点で公表されている情報をもとにまとめています。EUの税関ルールは移行期にあり、開始日・対象・金額などの詳細は変更される場合があります。実際の発送前に、税関・利用する配送会社の最新情報を必ずご確認ください。
参考情報
よくある質問
A.EU向けのB2C貨物について、通関時に商品を特定するために税関へ提供する識別コードのことです。「販売者の識別コード(SKU)」「製造者の識別コード(MPN/部品番号)」「標準化された識別コード(GTIN/EAN/UPCなどのバーコード。存在する場合のみ)」の3種類を、品目ごとに記載します。
A.2026年7月1日から任意(voluntary)で提供でき、2026年11月1日から義務化されます。義務化後は、PIDが不足していると通関できない場合があります。
A.EU27か国向けの、価額150ユーロ以下のB2C(消費者向け・通信販売)貨物が主な対象です。VAT登録済みの荷受人へのB2B貨物や、150ユーロを超える貨物は、原則として標準の税関ルールが適用されます。
A.2026年7月1日に150ユーロ以下の関税免除が廃止され、暫定措置として品目(HSコードの分類)ごとに一律3ユーロの関税が課されるようになりました。この暫定措置は2028年7月まで続く予定で、その後は標準の関税率へ移行する見込みです。
A.個数ではなく、税関申告書に記載された品目(HSコードの分類)ごとに3ユーロが課されます。例えば同じ品目のTシャツを5枚送っても3ユーロ、種類の異なる品目が2つあれば合計6ユーロ、という考え方です。VATは3ユーロを含めた金額に対して計算される場合があります。
A.EU向けに販売する商品のSKU(自社の商品コード)、仕入先から取得するMPN(製造者の品番)、バーコード(GTIN/EAN/UPC)を商品ごとに整理し、発送時のインボイス・税関データに正しく記載できるようにしておくことが重要です。書類作成に不安がある場合は、発送代行サービスに相談するのも有効です。