Hassoo
FedEx

FedExの補償・保険とは?申告価額(Declared Value)の仕組みと請求方法を解説

FedExで荷物が破損・紛失した場合の補償は、何も申告しなければ最大でも100ドル程度しか受け取れません。申告価額(Declared Value)は保険ではなく「運送人の責任限度額」であり、梱包不備や禁制品は対象外になります。モントリオール条約の責任限度額、請求期限、実際に受け取れる金額の決まり方まで解説します。

公開: 最終更新: 読了目安 約7執筆: 深見裕介(Kohaku代表 / 国際発送支援サービスHassoo運営)
対象: 国際発送全般(アメリカ向けを中心とした一例)情報確認日: 2026年8月19日
FedExの補償・保険(Declared Value)の仕組みを解説するイメージ。Hassooのロゴと「FedExの補償・保険とは?申告価額(Declared Value)の仕組みと請求方法を解説」の見出し、FedExの段ボール箱と盾のアイコン、Declared Valueの書類、破損した商品の写真、インボイス、請求(CLAIM FORM)に必要な写真・インボイス・追跡番号のチェックリスト、貨物保険の案内

FedExで荷物が破損・紛失しても、何も申告していなければ受け取れる補償はごくわずかです。国際航空運送ではモントリオール条約の責任限度額(1kgあたり26SDR、2024年12月28日改定)が基準になり、高額品を守るには発送前に申告価額(Declared Value)を設定する必要があります。ただし、Declared Valueは保険ではなく「FedExの責任の上限額」にすぎず、梱包が不十分だった場合は対象外になることもあります。

この記事の要点

  • 何も申告しない場合の補償額は、区間・サービスによって異なるが、決して高額ではない(国際航空運送ではモントリオール条約の限度額=1kgあたり26SDRが目安)
  • 申告価額(Declared Value)は保険ではなく、FedExが負う責任の上限額。実損額(修理費・減価償却後価値・交換費用のうち最も低い額)を超えては支払われない
  • 一定額を超える申告には追加料金がかかる
  • 梱包不備・禁制品・間接損害は補償の対象外になり得る
  • 請求(クレーム)には期限があり、追跡番号・写真・請求書などの証拠が必要
  • より手厚い補償が必要な場合は、別途の貨物保険(Cargo Insurance)という選択肢もある

何も申告しなければ、補償はごくわずか

「FedExで送っているから、壊れても弁償してもらえるだろう」と考えるのは危険です。荷送人が申告価額を設定していない場合、FedExが負う責任にはもともと低い上限が設定されています。

米国発着の輸送では、追加料金なしで自動付帯される基本補償として、1梱包あたり最大100米ドル、または1kgあたり20米ドル(1lbあたり9.07米ドル)のいずれか高い方が上限の目安です。たとえば5kgの荷物なら「100ドル」と「100ドル(20ドル×5kg)」を比較して高い方、10kgなら「100ドル」と「200ドル」を比較して高い方、という形で計算されます。この基本補償は商品価値に含まれるサービス料の一部であり、追加のお金を払って上乗せするものではありません。

ただし、有償で補償額を引き上げることも可能です。次章で解説するDeclared Value(申告価額)を設定すれば、このデフォルトの上限を超えて、商品の価値に見合った補償を受けられます。高額品を送る場合は、この有償オプションの利用を検討してください。

一方、日本からアメリカなど、国境をまたぐ国際航空運送でモントリオール条約が適用される区間では、条約が定める責任限度額が優先されます(後述)。どちらの基準が適用されるにせよ、「何も申告していない状態」は、高額品にとって実質的にほぼ補償なしに近いと考えておくべきです。

モントリオール条約とは(国際航空運送の責任限度額)

モントリオール条約(1999年)は、国際航空運送における運送人の責任とその限度額を定めた国際条約で、日本を含む多くの国が加盟しています。FedExが行う国際航空貨物輸送も、区間によってこの条約の適用を受けます。

条約上の責任限度額は、SDR(Special Drawing Rights:IMFの特別引出権)という単位で定められており、物価の変動に応じて定期的に見直されます。直近では2024年12月28日から、貨物の滅失・損傷・延着に対する責任限度額が1kgあたり22SDRから26SDRに引き上げられました。SDRは為替レートで変動しますが、目安としては1kgあたり数十ドル程度の水準です。

つまり、申告価額を設定せずに1kgの荷物を送って全損した場合、条約上の下限としては「1kgあたり26SDR相当額」が補償の目安になる、ということです。高額な商品ほど、この基準額とのギャップが大きくなる点に注意してください。

Declared Value(申告価額)とは何か

高額品を送る場合、発送時に商品の価値を申告し、その金額を上限として運送人の責任を引き上げてもらう制度がDeclared Value(申告価額)です。

ここで誤解しやすいのが、Declared Valueは保険ではないという点です。

  • 保険:契約した保険金額に応じて、契約条件に沿った保険金が支払われる商品
  • Declared Value:あくまで「FedExが負う責任の上限額」を引き上げる制度。実際に支払われる金額は、実損害額(修理費・減価償却後の価値・交換費用のうち最も低い額)で算定される

つまり、10万円の商品にDeclared Valueを10万円で設定していても、査定の結果「減価償却後の価値は6万円」と判断されれば、支払われるのは6万円にとどまる可能性があります。申告額=受け取れる金額、ではないという点を押さえておいてください。

Declared Valueには追加料金がかかる

一定の基準額を超えて申告価額を設定する場合、超過分に対して追加料金が発生します。料金はサービスの種類(国際小口貨物か、フレイトかなど)や申告額によって変わり、毎年見直されるのが一般的です。

高額品を送る際は、

  1. 何も申告しない場合の上限額でカバーできるか
  2. Declared Valueを設定する場合、追加料金と補償額のバランスはどうか
  3. それでも不安が残る場合、別途の貨物保険を検討するか

という順番で判断すると整理しやすくなります。

補償されないケース(免責事項)

Declared Valueを設定していても、次のようなケースは補償の対象外になり得ます。

梱包不備

FedExの運送約款では、不適切または不十分な梱包に起因する損害について、FedExは責任を負わないと定められています。特にパソコン・電子機器・壊れ物・アルコール類などは、公式の梱包ガイドに沿った梱包が求められています。

「保険(Declared Value)をかけているから安心」ではなく、まず梱包が前提条件です。緩衝材の厚み、二重梱包、テープの貼り方などの具体的な基準は、海外発送の正しい梱包方法で解説しています。

禁制品・申告制限品目

現金・有価証券・貴金属・宝石・美術品・骨董品、たばこ製品、アルコール類、危険物、生きた動物などは、多くの場合そもそも申告価額の対象外か、破損・紛失しても補償されない品目として扱われます。高額品を送る前に、その品目が申告価額の対象になるかどうかを必ず確認してください。

間接損害・遅延による機会損失

配送の遅延によって生じた間接的な損害(転売の機会損失、営業上の損害など)は、直接的な損害賠償の対象外とされるのが一般的です。「時間指定で届かなかったことで生じた追加コスト」のような損害は、原則として補償されません。

実際に受け取れる金額はどう決まるか

補償額は、次のうち最も低い額を基準に算定されるのが基本的な考え方です。

  • 修理にかかる費用
  • 減価償却後の現在価値
  • 同等品への交換費用

新品で購入した高額品でも、時間の経過とともに評価額が下がっている場合、購入価格そのままでは補償されない点に注意してください。

請求(クレーム)の手続きと期限

破損・紛失に気づいたら、できるだけ早く手続きを始めてください。請求には期限があり、国際発送は国内発送よりも短い期間に設定されているのが一般的です。期限を過ぎると、そもそも請求自体ができなくなります。

請求時に必要になりやすい資料の例です。

  • 追跡番号(Tracking Number)
  • 破損・紛失の状況が分かる写真(外箱・緩衝材・商品本体)
  • 購入時の請求書・インボイス(価額を証明する資料)
  • 梱包の状態が分かる資料(可能であれば梱包前の写真も)

梱包前に商品と梱包状態を撮影しておくことは、万一の請求時に「適切に梱包していた」ことを示す重要な証拠になります。発送前のひと手間として習慣にしておくと安心です。

より手厚い補償が必要なら:貨物保険という選択肢

高額品や壊れやすい商品を頻繁に送る場合、FedExのDeclared Valueだけでなく、第三者の保険会社が提供する貨物保険(Cargo Insurance)への加入も選択肢になります。

Declared Valueとの主な違いは次のとおりです。

Declared Value 貨物保険
位置づけ 運送人の責任限度額(契約条件) 独立した保険商品
支払い基準 実損額(低い方) 契約条件に応じた保険金
免責事項 梱包不備・禁制品など多い 商品・保険会社により異なる
向いているケース 通常の発送の上乗せ 高額品・壊れやすい商品の常用発送

発送頻度や商品単価が高い場合は、Declared Valueだけに頼らず、貨物保険もあわせて検討する価値があります。

発送前チェックリスト

  • 商品の価値に見合った申告価額(Declared Value)を検討したか
  • 申告する品目が、そもそも申告価額の対象になるか(禁制品でないか)確認したか
  • 梱包の基準を満たしているか(補償の前提条件)
  • 梱包前の商品・梱包状態を写真に残したか
  • 追加料金と補償額のバランスを確認したか
  • 高額品・壊れやすい商品を頻繁に送る場合、貨物保険も検討したか
  • 請求の期限を把握しているか

自分で対応できるケースと、相談したほうがよいケース

自分で対応できるケース

  • 比較的安価な商品で、デフォルトの補償上限内に収まる
  • 過去に同様の商品を問題なく発送した実績がある
  • 梱包の基準を理解し、適切に実施できる

相談したほうがよいケース

  • 高額品・壊れやすい商品を発送する
  • Declared Valueの設定要否や、追加料金の目安が分からない
  • 破損・紛失が発生し、請求の手続きに不安がある
  • 発送頻度が高く、貨物保険の要否を検討したい

Hassooでは、FedExを利用した国際発送について、Declared Valueの設定や梱包方法のご相談にも対応しています。高額品の発送を予定している場合は、事前にご相談ください。


※本記事は2026年8月時点で確認できる情報にもとづく一般的な解説です。責任限度額・料金・請求期限などは、発送区間・サービス・時期によって異なり、条約の改定や規約変更により変更される場合があります。実際の発送前に、FedExの最新の運送約款・料金表を必ずご確認ください。

参考情報

よくある質問

A.何も申告していない場合、補償額はごくわずかです。米国発着の輸送では、追加料金なしで自動付帯される基本補償として、1梱包あたり最大100米ドル、または1kgあたり20米ドル(1lbあたり9.07米ドル)のいずれか高い方が目安です。一方、国際航空運送でモントリオール条約が適用される区間では、条約上の責任限度額(2024年12月28日以降は1kgあたり26SDR、日本円で数千円程度)が基準になります。区間・サービス・条約の適用関係によって具体的な金額は変わるため、高額品を送る場合は事前に申告価額(Declared Value)を設定しておくことが重要です。

A.いいえ。Declared Valueは「FedExが負う責任の上限額」であり、保険の保険金額とは異なります。実際に支払われる金額は、修理費・減価償却後の価値・交換費用のうち最も低い額を基準に算定されるため、申告額を満額受け取れるとは限りません。

A.はい。一定額を超える申告には、超過分に対して追加料金がかかります。料金体系はサービスの種類や申告額によって異なり、毎年見直されるため、発送前に最新の料金表で確認することをおすすめします。

A.対象外になる可能性が高いです。FedExの運送約款では、不適切または不十分な梱包に起因する損害についてFedExは責任を負わないと定められています。補償を活かすには、まず適切な梱包が前提条件になります。梱包の基準は「海外発送の正しい梱包方法」で解説しています。

A.対象外、または申告そのものができない場合があります。現金・有価証券・貴金属・宝石・美術品・骨董品などは、多くの運送会社で禁制品・申告制限品目として扱われ、破損・紛失しても補償されないことが一般的です。発送前に対象品目かどうかを必ず確認してください。

A.発送日から一定期間内(国際発送は国内発送より短い期間に設定されるのが一般的です)に、追跡番号・写真・請求書(インボイス)・梱包の状態が分かる資料などを添えて請求する必要があります。期限を過ぎると請求自体ができなくなるため、破損・紛失に気づいたら早めに手続きを始めてください。

A.Declared Valueは運送人(FedEx)自身が設定する責任限度額であり、位置づけとしては保険ではなく契約条件です。免責事項も多く、実損額ベースでしか支払われません。一方、第三者の保険会社が提供する貨物保険(Cargo Insurance)は、より広い補償範囲・高い補償上限を選べる商品として別途加入するもので、高額品や壊れやすい商品を送る場合の上乗せの備えとして使われます。

A.モントリオール条約は、国際航空運送における運送人の責任やその限度額を定めた国際条約です。日本を含む多くの国が加盟しており、FedExが行う国際航空貨物輸送もこの条約の適用を受けます。条約上の責任限度額はSDR(IMFの特別引出権)という単位建てで定められ、2024年12月28日以降は貨物1kgあたり26SDRに改定されました。荷送人が申告価額を設定しない場合の補償の目安として押さえておくとよい数字です。

シェア:XFacebookLINE