DDPとDAPの違いとは?関税を誰が払うかと越境ECでの選び方を解説
DDPとDAPの違いは、輸入通関と関税・消費税を売主と買主のどちらが負担するかです。DAPは買主、DDPは売主が負担します。アメリカのデミニミス廃止で受け取り拒否が増え、eBayは米国向けにDDPを必須化しました。違いの一覧、選び方、DDPの注意点、FedExで関税の請求先を指定する方法まで解説します。
DDPとDAPの違いは、輸入国での通関手続きと関税・消費税を、売主(発送者)と買主(受取人)のどちらが負担するかです。DAPでは買主が、DDPでは売主が負担します。アメリカのデミニミス(少額免税)廃止で、受取人が関税の支払いを拒否して荷物が戻ってくるケースが増え、eBayは2025年10月から米国向けの取引にDDPを必須にしました。越境ECでどちらを選ぶかは、トラブルの起きやすさと利益に直結します。
この記事の要点
- DDPとDAPは、国際的な貿易条件(インコタームズ2020)の用語
- DAP:輸入通関と関税・税金は買主(受取人)が負担
- DDP:輸入通関と関税・税金まで売主(発送者)が負担
- どちらも、荷物が指定の場所に届くまでの輸送費とリスクは売主が負担
- アメリカのデミニミス廃止で、DAPでは受け取り拒否が起きやすくなった
- eBayは2025年10月17日の取引から、日本発・米国向け・2,500ドル未満の商品にDDPを必須化
- FedExでは、送り状で関税の請求先を選べる(指定しなければ受取人に請求される)
DDPとDAPの違い(一覧)
DDPもDAPも、国際商業会議所(ICC)が定める貿易条件「インコタームズ2020」の用語です。どちらも「売主が荷物を買主の指定した場所まで届ける」点は同じで、違いは輸入の手続きとお金の負担にあります。
| 項目 | DAP(仕向地持込渡し) | DDP(仕向地持込渡し・関税込み) |
|---|---|---|
| 指定場所までの輸送費 | 売主 | 売主 |
| 輸出通関 | 売主 | 売主 |
| 輸入通関 | 買主 | 売主 |
| 関税・輸入時の消費税 | 買主 | 売主 |
| 輸送中のリスク | 指定場所に着くまで売主 | 指定場所に着くまで売主 |
| 受け取り時の追加支払い | あり(関税・税金・手数料) | なし |
つまり、受取人が荷物を受け取るときにお金を払う必要があるかどうかが、実務上の一番大きな違いです。
DAP(仕向地持込渡し)とは
DAPは、売主が荷物を指定の場所まで運び、輸入通関と関税・税金の支払いは買主が行う条件です。
受取人は、荷物を受け取るときに関税、輸入時の消費税(国によってはVATやGST)、配送会社の通関手数料などを支払います。取引先の企業が自分で輸入手続きを行える場合は、分担がはっきりしていて扱いやすい条件です。
一方、一般の消費者は関税の金額を事前に知らないことが多く、予想外の請求に驚いて受け取りを拒否することがあります。拒否された荷物は差出人に返送されるのが一般的で、送料が無駄になるうえ、返送費がかかることもあります。
DDP(仕向地持込渡し・関税込み)とは
DDPは、売主が荷物を指定の場所まで運ぶだけでなく、輸入通関と関税・税金の支払いまで売主が行う条件です。
受取人は追加の支払いなしで荷物を受け取れるため、国内の通販に近い感覚で買い物ができます。その分、売主は関税や税金を負担し、輸入手続きに関わる責任も負います。
なぜ今、DDPが注目されているのか
アメリカでは、800ドル以下の荷物を免税にしてきたデミニミス制度が2025年8月29日に事実上廃止され、少額の荷物にも関税がかかるようになりました。詳しい経緯はデミニミス(少額免税)廃止とは?で解説しています。
その結果、DAPで送った荷物で受取人が関税の支払いを拒否し、荷物が返送されたり配送が遅れたりするケースが増えました。こうした状況を受けて、eBayは次のルールを導入しています(eBay Japanの案内による)。
- 2025年10月17日(米国太平洋時間)以降の取引から適用(発送日ではなく購入日が基準)
- 日本から米国へ送る2,500米ドル未満の商品(送料を除く)が対象
- 関税・税金はセラー側で処理し、バイヤーは受け取り時に追加費用を払わない
- Authenticity Guaranteeの対象商品などは例外
DDPとDAP、どちらを選ぶべきか
判断の目安は次のとおりです。
DDPが向いているケース
- 一般の消費者に売る越境EC(受け取り拒否を避けたい)
- eBayなど、販売先のプラットフォームがDDPを求めている
- 購入者に「追加費用なし」で安心して買ってもらいたい
DAPが向いているケース
- 取引先の企業が、自社で輸入手続きと関税の支払いを行える
- 輸入国のルールで、外国の売主が輸入手続きをしにくい
- 関税の金額が読みにくく、売主側で負担すると利益が見込めない
国際商業会議所(ICC)も、輸入国のルールによっては売主が輸入手続きを行うのが難しい場合があり、その場合はDAPのほうが適していると説明しています。
DDPを選ぶときの注意点
1. 関税・税金を販売価格に織り込む
DDPでは、関税や輸入時の消費税を売主が払います。事前に税額を調べて、販売価格や送料に含めておかないと、売れるほど利益が減ってしまいます。アメリカ向けの関税率の調べ方はアメリカ向け製品の関税率の調べ方を参考にしてください。
2. 売主が輸入者として扱われる場合がある
取引の形によっては、売主が輸入者(Importer of Record)として扱われ、通関業者に手続きを任せるための通関委任状(POA)などの準備が必要になることがあります。
3. インボイスの記載を正確にする
関税は、インボイスに書いた品目と価額をもとに計算されます。記載があいまいだと、想定より高い税率になったり、通関が止まったりします。記載項目はインボイス(Commercial Invoice)の書き方で解説しています。
FedExで関税の請求先を指定する方法
FedExでは、送り状を作るときに関税・その他税金・手数料の請求先を選ぶ項目があり、次の中から選べます。
- 荷受人:受取人が支払う(DAPに近い形)
- マイアカウント:自分(発送者)のアカウントに請求される(DDPに近い形)
- 第三者払い:発送者・受取人以外のアカウントに請求される
何も指定しない場合、関税・税金・通関手数料は荷受人に請求されます。 DDPで送るつもりなら、請求先を「マイアカウント」にし忘れないよう注意してください。
発送前チェックリスト
- 取引条件をDDPにするかDAPにするか、購入者・取引先と合意しているか
- DDPの場合、関税・消費税を販売価格や送料に織り込んだか
- 利用するプラットフォーム(eBayなど)がDDPを求めていないか確認したか
- FedExの送り状で、関税の請求先を正しく選んだか
- インボイスの品目・価額・原産国を正確に記載したか
- 輸入者として扱われる場合に、通関委任状(POA)などの準備が必要か確認したか
自分で対応できるケースと、相談したほうがよいケース
自分で対応できるケース
- 取引先の企業との取引で、DAPで分担がはっきりしている
- 関税率が分かっており、DDPの価格設定を自分で計算できる
相談したほうがよいケース
- 越境ECでDDPに切り替えたいが、関税の見積もりや価格設定に不安がある
- 受け取り拒否や返送が続いている
- 売主が輸入者として扱われるかどうか判断できない
Hassooでは、FedExを利用した国際発送について、関税の負担方法(DDP・DAP)の選び方や送り状の設定のご相談にも対応しています。発送する商品と送り先をお知らせいただければ、進め方をご案内します。
※本記事は2026年9月時点で確認できる情報にもとづく一般的な解説です。取引条件の扱いや各プラットフォームのルール、関税の制度は変更される場合があります。実際の取引・発送の前に、取引先・プラットフォーム・配送会社の最新の案内を必ずご確認ください。
参考情報
よくある質問
A.違いは、輸入国での通関手続きと、関税・消費税(輸入VATなど)を誰が負担するかです。DAP(仕向地持込渡し)では買主(受取人)が輸入通関を行い、関税・税金を支払います。DDP(仕向地持込渡し・関税込み)では売主(発送者)が輸入通関まで行い、関税・税金も支払います。どちらも、荷物が指定の場所に届くまでの輸送費とリスクは売主が負担します。
A.一般の消費者に売る越境ECでは、受取人が関税を払わずに受け取れるDDPのほうが、受け取り拒否やトラブルを減らしやすいです。一方、取引先の企業が自分で輸入手続きを行える場合や、輸入国のルールで売主が輸入手続きをしにくい場合は、DAPが向いています。
A.関税、輸入時の消費税(国によってはVATやGST)、配送会社の通関手数料などを、荷物を受け取るときに支払います。金額を知らないまま請求されると、受取人が支払いを拒否して荷物が返送されることがあります。
A.eBay Japanの案内によると、2025年10月17日(米国太平洋時間)以降の取引から、日本から米国へ送る2,500米ドル未満の商品(送料を除く)はDDP発送が必須になりました。関税はセラー側で処理され、バイヤーは受け取り時に追加費用を払う必要がありません。Authenticity Guaranteeの対象商品などは例外です。
A.送り状を作るときに、関税・その他税金・手数料の請求先を選ぶ項目で「マイアカウント」(自分のアカウント)を選びます。ほかに「荷受人」「第三者払い」も選べます。何も指定しない場合、関税・税金・通関手数料は荷受人(受取人)に請求されます。
A.関税や消費税を自分で払うため、あらかじめ税額を調べて販売価格や送料に織り込む必要があります。また取引の形によっては、売主が輸入者として扱われ、通関委任状(POA)などの準備が必要になることがあります。国によっては外国の売主が輸入手続きをしにくい場合もあるため、事前に確認が必要です。