Hassoo
アメリカ向け輸出

アメリカ向け子ども用品の輸出に必要なCPCとは?試験・書類・手続きを解説

おもちゃやベビー用品など12歳以下向けの商品をアメリカへ輸出するには、輸入者が子ども用製品証明書(CPC)を発行する必要があります。CPSC認定試験機関でのテスト、トラッキングラベル、2026年7月8日開始のeFilingまで、必要な書類と手続きを順番に解説します。

公開: 最終更新: 読了目安 約9分執筆: 深見裕介(Kohaku代表 / 国際発送支援サービスHassoo運営)
対象: アメリカ情報確認日: 2026年10月16日
アメリカ向けの子ども用品の輸出に必要なCPC(子ども用製品証明書)を解説するイメージ。Hassooのロゴと「CPCとは?子ども向け製品の米国輸出に必要な証明書」の見出し、CPCの基本・対象製品・取得方法・注意点の4つのポイント、星条旗の前に置かれたテディベアや積み木などのおもちゃと段ボール箱、CPSC認定試験機関やASTM F963、16 CFR Part 1303などの記載があるChildren's Product Certificateのサンプル書類の写真

アメリカへおもちゃやベビー用品、子ども向けの雑貨・衣類などを輸出するときは、CPC(Children's Product Certificate:子ども用製品証明書) が必要になります。CPCはアメリカの輸入者が発行する書類で、CPSC(米国消費者製品安全委員会)が受け入れた試験機関でのテスト結果が土台になります。さらに2026年7月8日からは、証明書のデータを通関時に電子提出するeFilingも始まっています。

この記事では、CPCの基本から、必要な書類、手続きの流れまでを順番に整理します。

この記事の要点

  • 12歳以下の子どもが主に使う商品は「子ども用品」として、CPCと第三者試験が必要になる
  • CPCは輸入者が発行する。日本の製造者の証明書を、そのまま使い回すことはできない
  • テストは、CPSCが認定した試験機関(CPSC-accepted laboratory)で行う。英文の報告書が必要
  • 子ども用品には、CPCとは別にトラッキングラベル(製造者名・製造日・場所など)の表示が必要
  • 2026年7月8日から、規制対象の輸入品は証明書データを通関時にeFilingする。少額の貨物でも免除はない
  • 材料や仕様を変えたときの再テスト、定期テスト、記録の保管も求められる

CPCとは何か

CPCは、子ども用品が、アメリカの安全ルールに適合していることを証明する書類です。根拠はアメリカの消費者製品安全法(CPSA)の第14条で、国内の製造者と輸入者に作成が義務づけられています。

CPCは、次の2つが組み合わさって成り立ちます。

  • 第三者試験:CPSCが受け入れた試験機関でのテストに合格していること
  • 証明書の発行:その結果にもとづき、輸入者または国内製造者が、適合していると証明する書類を出すこと

試験機関は試験の結果を出す役割で、CPCそのものは発行しません。CPCの様式に決まった書式はなく、必要な項目が正確に入っていれば作れます。

「子ども用品」とは何か

CPSCは、12歳以下の子どもが主に使うことを意図してデザインされた商品で、子ども用品の安全ルールの対象になるものを「子ども用品」としています。

判断は、メーカーの説明、パッケージの表示、売り方、一般的に子ども向けと見られるかどうか、などを総合して行います。たとえば「3歳以上向け」と書いたおもちゃや、ベビーカー、子ども服などが典型です。大人向けの商品でも、子ども向けと受け取られるデザインや売り方をしていれば、子ども用品と判断される可能性があります。迷う商品は、発送前に試験機関や輸入者へ相談しておくと安全です。

誰がCPCを発行するのか(輸出者ではなく輸入者)

海外で作られた商品では、輸入者がCPCを発行します。CPSCは、輸入者が外国の製造者のCPCをそのまま流用することはできないとしています。

ただし、輸入者は次のことができます。

  • 製造者が受けたテストの結果を、有効だと確認したうえで(Due Care)、自分のCPCの根拠に使う
  • アメリカ国内に拠点がなくても、輸入者としてCPCを発行する(アメリカの住所は必須ではない)

発送の形ごとに、誰がCPCの責任を負うかを整理すると、次のとおりです。

発送の形 CPCを発行するのは
アメリカの企業・卸へ納品(B2B) アメリカ側の輸入者(通関で輸入者になる企業)
日本の販売者が、アメリカの個人へ直送(B2C) 日本の販売者が輸入者にあたる場合がある。個人が自分で使う目的で受け取る場合、その個人は通常、輸入者とはみなされない
輸入者が別にいる 輸入者。日本側は試験報告書や製造情報を共有する

B2Cの直送は注意が必要です。2025年8月にデミニミス(少額免税)が廃止されたことで、少額の貨物でも正式な通関が必要になっています。デミニミス廃止の記事で解説しているとおり、直送でも通関の手続きは変わりません。自分が輸入者になる形かどうかは、通関業者とあらかじめ確認してください。関税の負担方法の違いは、DDPとDAPの違いの記事も参考になります。

必要な書類・手続き一覧

子ども用品をアメリカへ輸出するときの書類と手続きを、一覧にまとめます。

書類・手続き 誰が用意するか ポイント
第三者試験の報告書 製造者・輸入者 CPSC認定の試験機関で実施。英語で用意する
CPC(子ども用製品証明書) 輸入者 7項目を記載。英語で作成する
トラッキングラベル 製造者・輸入者 本体と包装に表示。CPCへの記載は不要
警告表示・ラベル 製造者・輸入者 窒息の危険(小さな部品)などの表示。商品によって異なる
コマーシャルインボイス 輸出者 商品説明を具体的に書く。書き方の記事を参照
HSコード 輸出者・通関業者 税率と、CPSCの対象かの判断に使う。HSコードの記事を参照
通関委任状 輸入者 通関業者に委任する場合。委任状の記事を参照
証明書データの電子提出(eFiling) 輸入者(通関業者が代行する場合が多い) 通関時にCBPのACEへ提出。2026年7月8日から
試験・証明書の記録 輸入者・製造者 求められたときにすぐ出せるよう保管

手続きの流れ(ステップ別)

ステップ1:商品が「子ども用品」かを判断する

先ほどの12歳以下の基準で、商品の対象年齢を決めます。パッケージの年齢表示、商品説明、広告の文言が、すべて同じ方向を向いているかも確認してください。

ステップ2:適用されるルールを洗い出す

子ども用品には、商品ごとに適用されるルールが異なります。CPCには、適用されるルールを1つずつ別に記載します。主なものは次のとおりです。

商品・テーマ 主なルール(CPSCの一覧にもとづく)
おもちゃ全般 16 CFR part 1250(ASTM F963)。2024年4月20日以降はF963-23が義務基準
鉛を含む塗料・表面塗装 16 CFR part 1303
全体の鉛含有量 15 U.S.C. § 1278a
フタル酸エステル(おもちゃ・育児用品) 16 CFR part 1307(可塑化された部品が対象)
小さな部品(窒息の危険) 16 CFR part 1501
ボタン電池・コイン電池 15 U.S.C. § 2056e、16 CFR part 1263
マグネット 16 CFR part 1262
衣類の可燃性 16 CFR part 1610
子どものパジャマ(サイズ0〜14) 16 CFR part 1615・1616
ベビー用品(ベビーカー、ベッド、ハイチェアなど) 商品ごとの個別規則(1215〜1243番台など)

おもちゃのCPCには、ASTM F963の該当する節も、個別に記載する必要があります。「16 CFR part 1250」とだけ書くのでは足りません。

商品の材料によっては、テストが不要になる場合もあります。たとえば、フタル酸エステルについて、無塗装の木、金属、天然繊維など、含まないことが分かっている素材はテスト不要とされています。ただし、このような場合でも、CPCを発行する必要はあります。その場合は、試験機関の代わりに、適用される免除や決定を引用して記載します。

ステップ3:CPSC認定の試験機関でテストする

テストは、CPSCが認定した試験機関で行います。CPSCは世界で600以上の試験機関を認定していて、認定は試験ごとに決まります。

  • 必要な試験が、その機関の認定範囲に入っているかを確認する
  • CPSCの試験機関検索で探せる
  • テストは、アメリカへの通関(輸入)より前に終えておく

商品の材料や仕様が変わったときは、変更の影響を受ける部分、または商品全体を再テストし、新しいCPCを出す必要があります。

ステップ4:CPCを作成する

CPCに書く項目は、CPSCの規則(16 CFR 1110.11)では次のとおりです。

  1. 商品の特定:SKU、型番、GTINなど、少なくとも1つの識別番号と、商品を特定できる説明
  2. 適用されるルール:該当するルールをすべて、1つずつ記載
  3. 証明する者(輸入者)の情報:名前、住所、メール、電話番号
  4. 記録を管理する担当者:名前と連絡先。常に誰かが対応する役職名でも可
  5. 製造の日付と場所:月と年までで可。製造者の名前・住所・連絡先も記載
  6. 試験の日付と場所:試験機関の名前・住所・連絡先も記載
  7. 証明の文言(アテステーション):「I hereby certify that the finished product(s) covered by this certificate comply with…」で始まる文言(eFilingでは、登録システム側に含まれる)

CPCとテスト報告書は、英語で用意します。

ステップ5:トラッキングラベルと警告表示を付ける

子ども用品の本体と包装に、トラッキングラベルを表示します。海外で作られた商品では、責任を負うのは通関で輸入者になる人です。

  • 製造者・輸入者・販売者の名前
  • 製造の場所(国と、都市・州または省。コード表示も可)
  • 製造の日付(月と年で可)
  • ロット番号など、供給元を特定できる情報

見やすく、読みやすく、消えにくい形で表示します。小さすぎて表示できない商品などでは、実行可能な範囲で表示するという扱いがあります。理由は記録しておいてください。トラッキングラベルは、第三者試験やCPCへの記載は不要です。

商品によっては、窒息の危険などの警告表示も必要です。内容は商品の種類や対象年齢で変わります。

ステップ6:通関書類を整え、eFilingする

インボイスやHSコードなど、通常の輸出書類を整えます。そのうえで、2026年7月8日から、規制対象の輸入品は証明書データを通関時に電子提出する必要があります(次の章で解説)。

また、証明書は貨物に「添付」されている必要があります。電子の証明書でも、固有の識別番号を付け、URLなどで確認できる形になっていれば、添付とみなされます。税関とCPSCの求めに応じて、すぐ出せるようにしておきます。

ステップ7:記録の保管、定期テスト、再テスト

  • 記録の保管:試験報告書やCPCの根拠資料を保管し、求められたら提示する
  • 定期テスト:原則として少なくとも年1回、第三者試験機関でテストする。生産管理の計画がある場合は2年ごと、ISO/IEC 17025の認定試験機関を使う場合は3年ごとにできる
  • 短期生産:1年未満の短期生産だけの商品は、定期テストの義務がない場合がある
  • 変更時:材料や仕様を変えたときは、再テストと新しいCPCが必要

eFiling(2026年7月8日開始)で何が変わったか

CPSCは、規制対象の輸入消費者製品について、証明書の主なデータを通関時にCBPへ電子提出する仕組み(eFiling)を始めました。実施日は2026年7月8日です。保税地域(FTZ)に入れてから輸入する貨物は、2027年1月8日からです。

ポイントは次のとおりです。

  • eFilingで変わるのは、証明書の出し方です。どの商品に証明書が必要かは変わりません
  • 提出するのは輸入者です。通関業者が代行する場合が多くあります
  • CPSCの案内では、少額の貨物の免除はありません。証明書が必要な商品なら、貨物の価額に関係なくeFilingが必要です
  • 提出方法は2つあります
方法 内容 向いているケース
Full PGA Message Set 7つの証明書データを、通関のたびにまとめて送る 輸入する商品の種類が少ない、同じ商品を繰り返し輸入しない
Reference PGA Message Set CPSCの登録システム(Product Registry)に先にデータを登録し、通関時は識別番号だけを送る 同じ商品を繰り返し輸入する

日本の輸出者が直接ACEへ提出するわけではありません。ただし、輸入者や通関業者が提出するための情報(商品の識別番号、製造日と場所、試験機関の情報など)は、日本側が提供する必要があります。

よくある落とし穴

  • 日本のSTマークだけで足りると考える:CPCは、CPSC認定の試験機関のテストが根拠です。日本の基準や試験だけでは代わりになりません
  • 試験機関の認定範囲を確認しない:認定は試験ごとです。必要な試験が範囲に入っているかを、先に確認してください
  • 「16 CFR 1250」だけを書く:おもちゃでは、ASTM F963の該当する節も、個別に記載します
  • テスト報告書を「CPC」だと思っている:報告書はCPCではありません。CPCは、輸入者が発行する別の書類です
  • ロットや仕様が変わったのに、そのまま輸出する:材料や仕様を変えたときは、再テストと新しいCPCが必要です
  • 少額なら免除されると思う:eFilingに少額免除はありません

発送前に確認すべきこと(チェックリスト)

  • 商品の対象年齢は何歳か。12歳以下の子ども用品に当たるか
  • 適用されるルールを洗い出したか(おもちゃ、鉛、フタル酸エステル、小さな部品など)
  • CPSC認定の試験機関で、必要な試験を受けているか。報告書は英語か
  • CPCの7項目が、正確にそろっているか
  • 本体と包装に、トラッキングラベルと警告表示があるか
  • 通関で輸入者になるのは誰か。その人がCPCを発行する準備ができているか
  • eFilingを誰が、どの方法(Full / Reference)で行うか
  • 試験報告書とCPCを、5年間など、求められたときに出せる形で保管しているか

自分で対応できるケースと相談したほうがよいケース

自分で対応できるケース

  • 過去に同じ商品をアメリカへ輸出していて、試験報告書とCPCがすでにそろっている
  • アメリカ側の輸入者が、CPCの発行とeFilingに慣れている
  • 材料や仕様が変わっておらず、試験報告書の有効性を確認できる

相談したほうがよいケース

  • 商品が12歳以下向けかどうか、判断に迷う
  • 適用されるルールや、必要な試験が分からない
  • 自分が輸入者になる形(B2Cの直送など)で、CPCを自分で発行する必要がある
  • ベビー用品、電池を使う商品、マグネットなど、個別のルールが多い商品を初めて送る
  • 過去に通関で留置された、または書類を求められた経験がある

試験やCPCの作成そのものは、CPSC認定の試験機関と、輸入者・通関業者の領域です。Hassooでは、FedExを利用したアメリカ向け発送の輸出書類作成をサポートしています。商品の内容と、通関で輸入者になる人が誰かをお知らせいただければ、必要な書類の確認事項を整理するお手伝いをします。


※本記事は2026年10月時点でCPSC(米国消費者製品安全委員会)が公表している情報にもとづく一般的な解説です。対象となるルール、ASTM F963の版、eFilingの運用、試験機関の認定範囲などは変更される場合があり、個別の商品にどの要件が適用されるかは、商品の材料・対象年齢・売り方によって異なります。実際の発送前に、CPSC・CBPの最新情報と、アメリカ側の輸入者・通関業者・試験機関へ必ずご確認ください。

参考情報

よくある質問

A.12歳以下の子どもが主に使うことを想定した商品が、アメリカの子ども用品の安全ルールに適合していることを証明する書類です。CPSC(米国消費者製品安全委員会)が受け入れた第三者試験機関のテスト結果にもとづき、アメリカの輸入者または国内の製造者が発行します。英文で作成し、テスト報告書も英語で用意します。

A.海外で作られた商品では、輸入者が発行します。日本の製造者が作った証明書をそのまま転用することはできません。ただし輸入者は、製造者が受けた試験の結果を、有効性を確認したうえで(Due Care)使うことができます。日本側は、試験報告書や製造情報を輸入者に渡せるように整えておくことが大切です。

A.CPSCは、個人が自分で使う目的で商品を購入・受け取る場合、その個人を輸入者とは通常みなさないとしています。一方で、直送や少額貨物では、商品の所有者・購入者となる海外の販売者が輸入者にあたる場合があります。通関で輸入者として名前が出る人が誰かは、発送方法や関税の負担方法で変わるため、通関業者に事前に確認してください。

A.それだけでは代わりになりません。CPCは、CPSCが当該の試験について認定している試験機関(CPSC-accepted laboratory)で行ったテストにもとづく必要があります。日本の試験機関でも、CPSCの認定を受けていれば使えることがあります。認定はテストごとに決まるため、必要な試験が認定範囲に入っているかを確認してください。

A.別の要件です。子ども用品の本体と包装に、製造者・輸入者・販売者の名前、製造の場所と日付(月と年で可)、ロット番号などを、見やすく消えない形で表示するものです。第三者試験やCPCへの記載は不要ですが、子ども用品には求められます。

A.CPSCの規制対象の輸入消費者製品では、証明書のデータを、通関時に電子的にCBP(米国税関・国境警備局)へ提出する(eFiling)ことが求められるようになりました。どの商品に証明書が必要かは変わらず、その情報の出し方が変わります。CPSCは、少額貨物の免除はないとしています。保税地域(FTZ)を経由する貨物の期限は2027年1月8日です。

A.CPSCの案内では、定期テストの計画と結果は5年間保管するとされています。CPCの根拠になった試験報告書も含め、CPSCやCBPから求められたときにすぐ出せるよう、整理して残してください。商品の材料や仕様を変えたときは、再テストと新しいCPCが必要になることがあります。

シェア:XFacebookLINE